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沖縄を考える  ・沖縄振興計画 ・海洋基本法 ・日米安保条約 ・日中平和友好条約 ・ECFA ・三民主義 ・治安維持法


研究 沖縄振興計画を読む

沖縄の自然的特性を損なうことなく、観光リゾート地としての観光客数キャパはどこまで伸ばせるのか


【沖縄振興計画 (抜粋) 平成14年7月 内閣府】
●地域特性
沖縄は、全国の中でも際立った地域特性を有しており、これらの特性はそれぞれに優位性と不利性の両面を持っている。 これまでは、主に本土との格差是正をめざし沖縄の振興開発が進められてきたが、復帰後30年の実績や時代潮流を踏まえたとき、これからは、沖縄の持つ優位性を最大限に発揮する とともに不利性の克服を図っていくことが重要となる。沖縄は、亜熱帯・海洋性気候の下、年間を通して温暖で、貴重な動植物が生息・生育する緑豊かな島しょ県である。また、 周辺海域を黒潮が北上し、サンゴ礁に囲まれた海岸線には白い砂浜が広がり、青い空と相まって世界有数の海岸景観を誇っている。この自然的特性が、観光・リゾート地としての 最大の魅力となっているのをはじめ、特色ある農林水産業の振興や熱帯・亜熱帯および海洋性に関する学術研究の場としての活用など、多様な可能性を付与するものである。
一方で、台風常襲地帯であることや特殊土壌及び特殊病害虫の存在等による農業分野への影響に加え、島しょ性がもたらす環境容量の小ささなど、県民生活や産業面に少なからず 影響を及ぼしている。広大な海域に散在する沖縄の多くの島々は、それぞれの特有の風土や文化を有する個性ある地域圏を育むとともに、経済水域の確保等我が国の国土形成に大きな 役割を果たしている。しかし、一方で、狭小な市場規模を形成することになり、基盤整備を進める上で非効率な側面をもたらしている。また、東京をはじめとする大都市からの 遠隔性は、物流面の不利性につながり、産業振興の制約となっている。また、東京と同距離内にソウル、上海、台北、香港、マニラ等の主要都市が位置する地理的条件は、 我が国とアジア・太平洋地域等との相互依存関係が一段と強まり、各種の交流が一層進む中、交通通信等のネットワーク構築等により、大いなる優位性へと転ずる可能性を示している。
沖縄の歴史及び文化的特性は、我が国の中でも独特のものがる。かつて琉球王国として、中国、東アジア諸国等との交易・交流を通じて形成された琉球文化に、戦後米国からの影響等も 加わり、国際色豊かな文化、生活様式を育んできた。また、沖縄は、先の大戦において、か烈な戦禍を被り、戦後も27年間にわたり米軍の統治下に置かれた。このような歴史の歩みの 中で、平和への強い思い入れと国際性豊かなホスピタリティに富む県民性を培ってきた。また、我が国の高度成長時代にその施政権の外に置かれ、社会資本の整備が後れるとともに、 技術や資本の蓄積などが必ずしも十分には進まず、いまだぜい弱な経済構造となっている。
社会的特性としては、大都市圏を除き全国的に人口が減少する傾向にある中で沖縄の人口の増加率は高く、若年人口の割合も高いことがあげられる。さらに、100歳以上の高齢者の 比率高い長寿県あることも特徴である。なお、かつて海外雄飛の覇気を持って移民し、世界にネットを築いている約30万人の世界ウチナーンチュ(沖縄人)の存在も、沖縄の貴重な 財産といえる。また、世界役150か国から5000人近い研修生が、沖縄で学び、沖縄を体験して大きな絆を結んできた。一方、沖縄には我が国における米軍専用施設・区域の 約75%が集中している現状がある。狭小な県土の中での高密度の米軍施設・区域の存在は、土地利用上大きな制約となっている上、水域及び空域の利用について制限があるなど、 県民生活をはじめ沖縄の振興に様々な影響を及ぼしている。
●質の高い観光・リゾート地の形成
美しい海と豊かな自然、沖縄独特の歴史、文化等魅力ある地域特性を生かし、国際的な海洋性リゾート地の形成や国民の総合的な健康保養の場の形成、エコツーリズム、 グリーンツーリズム等の体験・滞在型観光の推進、さらにはコンベンション拠点の形成など、多様なニーズに対応した通年・滞在型の質の高い観光・リゾート地の形成を図る。
国際的海洋性リゾート地の形成
国際的な海洋性リゾート地の形成に向け、観光振興地域制度を積極的に活用し、宿泊施設、ショッピング施設、レクリエーション施設、文化施設等関連施設の集積を促進するとともに、 道路、港湾、公園、海浜等の観光関連公共施設の一体的・重点的な整備を推進する。また、沖縄におけるショッピングの魅力の向上を図るとともに、さらにその新たな魅力の創出に向け、 沖縄型特定免税店の空港外展開と併せて国際ショッピングモール構想の推進を図る。さらに、国営沖縄記念公園における世界的規模の新水族館をはじめ、観光拠点施設の整備を推進 するとともに、部瀬名地域及び中城湾港泡瀬地区においては、国際性や海洋性を備えたリゾート拠点の形成を図る。観光・リゾート地のネットワーク化を強化する道路網の整備を進める とともに、景観や周辺環境に配慮した道路、歩道、遊歩道、公園、緑地、マリーナ・フィッシャリーナ、海岸、養浜等、アメニティを高める公共インフラの整備を推進する。 また、自然環境の保全や再生に積極的に取り組むとともに、電線類地中化等良好な景観の形成、沖縄らしい魅力ある県土の修景緑化やまちづくり等を推進し快適で美しい観光・リゾート 空間の創出に努める。
芸術・文化の振興
豊かな感性と創造性を育む文化を振興するとともに、沖縄文化を世界に発信する。また、誇りある独特の伝統文化を保存及び活用するとともに、多様な文化活動を支える施設や催し、 優れた芸術文化等の鑑賞機会の充実を図る。このため、県芸術祭の充実や伝統芸能の継承、発展など県民文化の振興や、郷土芸能に関する文化施設の整備充実を図るとともに、 バイタリティあふれる多様な音楽等沖縄文化の世界への発信に取り組む。また、次代を担う児童生徒の芸術鑑賞機会の拡充や、総合文化祭及び国際交流などの文化活動を推進する。 さらに、県立博物館新館及び県立美術館の整備を図る。
●北部圏域
観光・リゾート産業の振興
基幹産業として地域の他産業のけん引役となることが期待される観光・リゾート産業については、健康・長寿関連産業、農林水産業等他産業との有機的な連携を図りつつ、豊かな 自然や伝統文化、地域の営み等、地域との交流機会を提供していく「文化交流型産業」として新た視点で取り組み、観光の通年化、滞在の長期化を図る。このため、エコツーリズム、 グリーンツーリズム、ブルーツーリズム等の体験・滞在型観光を促進するとともに、健康・保養をテーマとした観光を促進するため、健康増進施設等の整備を図る。さらに、各種 イベント・スポーツ観光を促進する。また、国際的観光・リゾート地の形成を目指し、恩納村から名護市を経て本部町に至る西海岸地域に定着している人の流れを拡大し北部地域全体に 波及するよう、各観光・リゾート拠点の整備を図るとともに、各拠点の連携強化に向け周遊ルート化を促進する。このため、国営沖縄記念公園海洋博覧会地区の拠点機能の充実や、 世界遺産の今帰仁城跡の整備・保全、自然環境等観光資源の保全・創出に努める。また、各観光・リゾート拠点のテーマ性を持たせたネットワーク化とともに、アクセス道路、 駐車場及びインフォメーション施設等の整備や、総合的な公共交通等のネットワークの充実により、観光客の移動の利便性を高める。国頭3村にまたがる広大な森林地域については、 適切な保全管理や多面的活用を始め、国立公園化を検討する。さらに、赤土流出防止対策等の環境対策による観光資源の維持・向上や、良好な景観の形成、魅力あるまちづくり等を 推進し、豊かで美しい観光・リゾート空間の創出を図る。
●中部圏域
観光・リゾート産業の振興
宜野湾市から読谷村に至る西海岸地域においては、沖縄コンベンションセンターを中心に、マリーナ、人工海浜、リゾートホテル等が整備されており、これらの施設を連携させるとともに、 宿泊施設等のコンベンション支援機能及び都市型リゾート施設を拡充強化し、人と情報の交流ゾーンの形成を推進する。沖縄観光の魅力を高めるため、観光振興地域において、 沖縄型特定免税店の空港外展開とあわせて、国際ショッピングモール構想の推進を図る。東海岸の中城湾港泡瀬地区においては、東部海浜開発を促進し海洋性レクリエーション機能を 導入することにより、海に開かれた国際交流リゾート拠点等を形成する。また、与勝半島、具志川市、石川市まど、金武湾に面した地域は、一体的な地域として、健康長寿をテーマとした 体験・滞在型観光を促進する。さらに、世界遺産の中城城跡、勝連城跡、座喜味城跡の遺産群等については、文化交流型観光への取組の一環として、歴史的景観の保全、これと調和した 周辺整備及び観光ルート化等を促進し、琉球歴史回廊の形成を図る。また、国際色豊かなおきなわマラソン、中部トリムマラソン、ピースフルラブ・ロックフェスティバル等の各種 イベントやレクリエーション活動を促進するとともに、エイサー等の伝統芸能や、異文化との融合して生まれたオキナワンミュージック等を活用した観光振興の取組を促進する。 ●南部圏域
観光・リゾート産業の振興
西海岸地域においては、空港、港湾等の施設と連携したショッピング施設や海洋レクリエーション施設等を整備し、コースタルリゾートの形成を図る。東海岸地域においては、 海洋レジャー施設等の整備による海洋性レクリエーション基地の形成を図る。また、健康食品等地域特産品の開発を促進するとともに、健康・保養をテーマとした観光振興を図る。 国営沖縄記念公園首里城地区及び首里城公園の整備充実を図るとともに、識名園、玉陵等の琉球王国のグスク関連遺産群とその周辺地域の整備を促進する。また、園比屋武御嶽を 起点として玉城グスクに至る「東御廻い」の史跡や景勝地を経由する沖縄のみち自転車道を整備し、歴史的遺産群を結ぶ観光ルートの整備を促進するなど、琉球歴史回廊の形成を 図る。さらに、沖縄戦跡国定公園を中心とした平和学習拠点の形成を図る。ラムサール条約に登録された漫湖については、都市における観光教育や自然観察の拠点地域としてその整備を図る。 離党地域においては、豊かな自然環境を生かしたグリーンツーリズム、ブルーツーリズム等の体験・滞在型観光を促進するため、宿泊施設やレクリエーション施設の整備など 受け入れ態勢の強化を促進するとともに、多様化する観光ニーズに対応する各種イベント、観光プログラム等の開発により観光の通年化・長期化を図る。
●宮古圏域
観光・リゾート産業の振興
「全日本トライアスロン宮古島大会」等の定着により、観光客は増加しており、今後とも地域の特性を生かした魅力ある観光・リゾート地づくりを推進する。このため、島の特性を 生かした体験・滞在型観光を可能にするレクリエーション施設や長期滞在型施設、数多く所在する歴史・文化遺産を生かした「歴史・文化ロード」の整備を促進する。ウエルネス等の 健康・保養をテーマとした観光や、ダイビングをはじめとしたマリンスポーツの振興を図るとともに、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム等の農業や水産業と連携した観光を 推進する。また、本土とのチャーター便就航の実績を重ね、航空路線の拡充を図るとともに、国内外の大型クルーズ客船の就航を促進する。平良港については、宮古圏域の観光・リゾート 拠点としての整備を図るためコースタルリゾートプロジェクト(トゥリバー地区)を推進する。下地島空港の周辺地域については、観光資源である海洋景観の保全を図るとともに、 スポーツレクリエーション施設等の整備を促進する。
●八重山圏域
観光・リゾート産業の振興
石垣島を中心とした国際的な観光・リゾート地の形成を図るため、本土との航空路線の拡充、海外との航空路線の開設、国内外の大型クルーズ客船の就航などを促進し、アクセス条件の 改善を図るほか、石垣港については、離島ターミナルの再編等、観光・リゾート拠点としての整備をし苦心する。周辺離島間会場航路網の拡充を図るとともに、共通乗車船券の活用による 周遊ルートの多様化を図り、個性あふれる島々の魅力を生かした観光を促進する。また、イリオモテヤマネコ等の天然記念物が生息する亜熱帯自然林、マングローブ等が密集する河口域や 我が国最大のサンゴ礁域を活用したエコツーリズム、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム等の体験・滞在型観光を促進する。観光振興に当たっては、恵まれた自然環境の保全が重要であり、 そのための取組を強化する。西表国立公園に属する石西礁湖ゾーンをはじめとしたサンゴ礁を保全するとともに、観光資源としての活用を図る。俣、国際サンゴ礁研究モニタリングセンターとの 連携を図る。さらに、竹富島の伝統的建造物群保存地区等における歴史風土に育まれた集落景観をはじめ、民族芸能や文化遺産等、島々のもつ魅力を生かすとともに、「石垣島トライアスロン 大会」や「大海洋祭マンタピア」等各種イベントの充実を図る。与那国島においては、海底観光資源を十分に生かすため、観光・リゾート施設の整備を促進する。また、東南アジア等に 近い同圏域の地理的特性を生かし、国境を接する台湾との交流を促進する。


研究 海洋基本法を読む

東シナ海の要衝たる沖縄は、その地理的優位性をどうのようにして活かすのか。

【海洋基本法 平成19年7月20日 施行】
  第一章 総則
(目的)
第一条  この法律は、地球の広範な部分を占める海洋が人類をはじめとする生物の生命を維持する上で不可欠な要素であるとともに、海に囲まれた我が国において、海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束に基づき、並びに海洋の持続可能な開発及び利用を実現するための国際的な取組の中で、我が国が国際的協調の下に、海洋の平和的かつ積極的な開発及び利用と海洋環境の保全との調和を図る新たな海洋立国を実現することが重要であることにかんがみ、海洋に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにし、並びに海洋に関する基本的な計画の策定その他海洋に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、総合海洋政策本部を設置することにより、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上を図るとともに、海洋と人類の共生に貢献することを目的とする。
(海洋の開発及び利用と海洋環境の保全との調和)
第二条  海洋については、海洋の開発及び利用が我が国の経済社会の存立の基盤であるとともに、海洋の生物の多様性が確保されることその他の良好な海洋環境が保全されることが人類の存続の基盤であり、かつ、豊かで潤いのある国民生活に不可欠であることにかんがみ、将来にわたり海洋の恵沢を享受できるよう、海洋環境の保全を図りつつ海洋の持続的な開発及び利用を可能とすることを旨として、その積極的な開発及び利用が行われなければならない。
(海洋の安全の確保)
第三条  海洋については、海に囲まれた我が国にとって海洋の安全の確保が重要であることにかんがみ、その安全の確保のための取組が積極的に推進されなければならない。
(海洋に関する科学的知見の充実)
第四条  海洋の開発及び利用、海洋環境の保全等が適切に行われるためには海洋に関する科学的知見が不可欠である一方で、海洋については科学的に解明されていない分野が多いことにかんがみ、海洋に関する科学的知見の充実が図られなければならない。
(海洋産業の健全な発展)
第五条  海洋の開発、利用、保全等を担う産業(以下「海洋産業」という。)については、我が国の経済社会の健全な発展及び国民生活の安定向上の基盤であることにかんがみ、その健全な発展が図られなければならない。
(海洋の総合的管理)
第六条  海洋の管理は、海洋資源、海洋環境、海上交通、海洋の安全等の海洋に関する諸問題が相互に密接な関連を有し、及び全体として検討される必要があることにかんがみ、海洋の開発、利用、保全等について総合的かつ一体的に行われるものでなければならない。
(海洋に関する国際的協調)
第七条  海洋が人類共通の財産であり、かつ、我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることにかんがみ、海洋に関する施策の推進は、海洋に関する国際的な秩序の形成及び発展のために先導的な役割を担うことを旨として、国際的協調の下に行われなければならない。
(国の責務)
第八条  国は、第二条から前条までに定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第九条  地方公共団体は、基本理念にのっとり、海洋に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的社会的条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(事業者の責務)
第十条  海洋産業の事業者は、基本理念にのっとりその事業活動を行うとともに、国又は地方公共団体が実施する海洋に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(国民の責務)
第十一条  国民は、海洋の恵沢を認識するとともに、国又は地方公共団体が実施する海洋に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(関係者相互の連携及び協力)
第十二条  国、地方公共団体、海洋産業の事業者、海洋に関する活動を行う団体その他の関係者は、基本理念の実現を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。
(海の日の行事)
第十三条  国及び地方公共団体は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)第二条に規定する海の日において、国民の間に広く海洋についての理解と関心を深めるような行事が実施されるよう努めなければならない。
(法制上の措置等)
第十四条  政府は、海洋に関する施策を実施するために必要な法制上、財政上又は金融上の措置その他の措置を講じなければならない。
(資料の作成及び公表)
第十五条  政府は、海洋の状況及び政府が海洋に関して講じた施策に関する資料を作成し、適切な方法により随時公表しなければならない。
  第二章 海洋基本計画
第十六条  政府は、海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、海洋に関する基本的な計画(以下「海洋基本計画」という。)を定めなければならない。
2  海洋基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一  海洋に関する施策についての基本的な方針
二  海洋に関する施策に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策
三  前二号に掲げるもののほか、海洋に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3  内閣総理大臣は、海洋基本計画の案につき閣議の決定を求めなければならない。
4  内閣総理大臣は、前項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、海洋基本計画を公表しなければならない。
5  政府は、海洋に関する情勢の変化を勘案し、及び海洋に関する施策の効果に関する評価を踏まえ、おおむね五年ごとに、海洋基本計画の見直しを行い、必要な変更を加えるものとする。
6  第三項及び第四項の規定は、海洋基本計画の変更について準用する。
7  政府は、海洋基本計画について、その実施に要する経費に関し必要な資金の確保を図るため、毎年度、国の財政の許す範囲内で、これを予算に計上する等その円滑な実施に必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
  第三章 基本的施策
(海洋資源の開発及び利用の推進)
第十七条  国は、海洋環境の保全並びに海洋資源の将来にわたる持続的な開発及び利用を可能とすることに配慮しつつ海洋資源の積極的な開発及び利用を推進するため、水産資源の保存及び管理、水産動植物の生育環境の保全及び改善、漁場の生産力の増進、海底又はその下に存在する石油、可燃性天然ガス、マンガン鉱、コバルト鉱等の鉱物資源の開発及び利用の推進並びにそのための体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
(海洋環境の保全等)
第十八条  国は、海洋が地球温暖化の防止等の地球環境の保全に大きな影響を与えること等にかんがみ、生育環境の保全及び改善等による海洋の生物の多様性の確保、海洋に流入する水による汚濁の負荷の低減、海洋への廃棄物の排出の防止、船舶の事故等により流出した油等の迅速な防除、海洋の自然景観の保全その他の海洋環境の保全を図るために必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、前項の措置については、科学的知見を踏まえつつ、海洋環境に対する悪影響を未然に防止する観点から、これを実施するとともに、その適切な見直しを行うよう努めるものとする。
(排他的経済水域等の開発等の推進)
第十九条  国は、排他的経済水域等(排他的経済水域及び大陸棚に関する法律(平成八年法律第七十四号)第一条第一項の排他的経済水域及び同法第二条の大陸棚をいう。以下同じ。)の開発、利用、保全等(以下「排他的経済水域等の開発等」という。)に関する取組の強化を図ることの重要性にかんがみ、海域の特性に応じた排他的経済水域等の開発等の推進、排他的経済水域等における我が国の主権的権利を侵害する行為の防止その他の排他的経済水域等の開発等の推進のために必要な措置を講ずるものとする。
(海上輸送の確保)
第二十条  国は、効率的かつ安定的な海上輸送の確保を図るため、日本船舶の確保、船員の育成及び確保、国際海上輸送網の拠点となる港湾の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
(海洋の安全の確保)
第二十一条  国は、海に囲まれ、かつ、主要な資源の大部分を輸入に依存する我が国の経済社会にとって、海洋資源の開発及び利用、海上輸送等の安全が確保され、並びに海洋における秩序が維持されることが不可欠であることにかんがみ、海洋について、我が国の平和及び安全の確保並びに海上の安全及び治安の確保のために必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、津波、高潮等による災害から国土並びに国民の生命、身体及び財産を保護するため、災害の未然の防止、災害が発生した場合における被害の拡大の防止及び災害の復旧(以下「防災」という。)に関し必要な措置を講ずるものとする。
(海洋調査の推進)
第二十二条  国は、海洋に関する施策を適正に策定し、及び実施するため、海洋の状況の把握、海洋環境の変化の予測その他の海洋に関する施策の策定及び実施に必要な調査(以下「海洋調査」という。)の実施並びに海洋調査に必要な監視、観測、測定等の体制の整備に努めるものとする。
2  国は、地方公共団体の海洋に関する施策の策定及び実施並びに事業者その他の者の活動に資するため、海洋調査により得られた情報の提供に努めるものとする。
(海洋科学技術に関する研究開発の推進等)
第二十三条  国は、海洋に関する科学技術(以下「海洋科学技術」という。)に関する研究開発の推進及びその成果の普及を図るため、海洋科学技術に関し、研究体制の整備、研究開発の推進、研究者及び技術者の育成、国、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)、 都道府県及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化その他の必要な措置を講ずるものとする。
(海洋産業の振興及び国際競争力の強化)
第二十四条  国は、海洋産業の振興及びその国際競争力の強化を図るため、海洋産業に関し、先端的な研究開発の推進、技術の高度化、人材の育成及び確保、競争条件の整備等による経営基盤の強化及び新たな事業の開拓その他の必要な措置を講ずるものとする。
(沿岸域の総合的管理)
第二十五条  国は、沿岸の海域の諸問題がその陸域の諸活動等に起因し、沿岸の海域について施策を講ずることのみでは、沿岸の海域の資源、自然環境等がもたらす恵沢を将来にわたり享受できるようにすることが困難であることにかんがみ、自然的社会的条件からみて一体的に施策が講ぜられることが相当と認められる沿岸の海域及び陸域について、その諸活動に対する規制その他の措置が総合的に講ぜられることにより適切に管理されるよう必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、前項の措置を講ずるに当たっては、沿岸の海域及び陸域のうち特に海岸が、厳しい自然条件の下にあるとともに、多様な生物が生息し、生育する場であり、かつ、独特の景観を有していること等にかんがみ、津波、高潮、波浪その他海水又は地盤の変動による被害からの海岸の防護、海岸環境の整備及び保全並びに海岸の適正な利用の確保に十分留意するものとする。
(離島の保全等)
第二十六条  国は、離島が我が国の領海及び排他的経済水域等の保全、海上交通の安全の確保、海洋資源の開発及び利用、海洋環境の保全等に重要な役割を担っていることにかんがみ、離島に関し、海岸等の保全、海上交通の安全の確保並びに海洋資源の開発及び利用のための施設の整備、周辺の海域の自然環境の保全、住民の生活基盤の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
(国際的な連携の確保及び国際協力の推進)
第二十七条  国は、海洋に関する国際約束等の策定に主体的に参画することその他の海洋に関する国際的な連携の確保のために必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、海洋に関し、我が国の国際社会における役割を積極的に果たすため、海洋資源、海洋環境、海洋調査、海洋科学技術、海上における犯罪の取締り、防災、海難救助等に係る国際協力の推進のために必要な措置を講ずるものとする。
(海洋に関する国民の理解の増進等)
第二十八条  国は、国民が海洋についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育の推進、海洋法に関する国際連合条約その他の国際約束並びに海洋の持続可能な開発及び利用を実現するための国際的な取組に関する普及啓発、海洋に関するレクリエーションの普及等のために必要な措置を講ずるものとする。
2  国は、海洋に関する政策課題に的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成を図るため、大学等において学際的な教育及び研究が推進されるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
  第四章 総合海洋政策本部
(設置)
第二十九条  海洋に関する施策を集中的かつ総合的に推進するため、内閣に、総合海洋政策本部(以下「本部」という。)を置く。
(所掌事務)
第三十条  本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一  海洋基本計画の案の作成及び実施の推進に関すること。
二  関係行政機関が海洋基本計画に基づいて実施する施策の総合調整に関すること。
三  前二号に掲げるもののほか、海洋に関する施策で重要なものの企画及び立案並びに総合調整に関すること。
(組織)
第三十一条  本部は、総合海洋政策本部長、総合海洋政策副本部長及び総合海洋政策本部員をもって組織する。
(総合海洋政策本部長)
第三十二条  本部の長は、総合海洋政策本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2  本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
(総合海洋政策副本部長)
第三十三条  本部に、総合海洋政策副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官及び海洋政策担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、海洋に関する施策の集中的かつ総合的な推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。
2  副本部長は、本部長の職務を助ける。
(総合海洋政策本部員)
第三十四条  本部に、総合海洋政策本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2  本部員は、本部長及び副本部長以外のすべての国務大臣をもって充てる。
(資料の提出その他の協力)
第三十五条  本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人及び地方独立行政法人の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第十五号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2  本部は、その所掌事務を遂行するために特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
(事務)
第三十六条  本部に関する事務は、内閣官房において処理し、命を受けて内閣官房副長官補が掌理する。
(主任の大臣)
第三十七条  本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
(政令への委任)
第三十八条  この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
(施行期日)
1  この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(検討)
2  本部については、この法律の施行後五年を目途として総合的な検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。


研究 日米安保条約を読む

もし米軍が全て撤退したら日本は独立を保てないのだろうか。

【日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約 1960年1月19日 締結】

日本国及びアメリカ合衆国は、
 両国の間に伝統的に存在する平和及び友好の関係を強化し、並びに民主主義の諸原則、個人の自由及び法の支配を擁護することを希望し、
 また、両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、並びにそれぞれの国における経済的安定及び福祉の条件を助長することを希望し、
 国際連合憲章の目的及び原則に対する信念並びにすべての国民及びすべての政府とともに平和のうちに生きようとする願望を再確認し、
 両国が国際連合憲章に定める個別的又は集団的自衛の固有の権利を有していることを確認し、
 両国が極東における国際の平和及び安全の維持に共通の関心を有することを考慮し、
 相互協力及び安全保障条約を締結することを決意し、
 よつて、次のとおり協定する。

第一条 締約国は、国際連合憲章に定めるところに従い、それぞれが関係することのある国際紛争を平和的手段によつて国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決し、並びにそれぞれの国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎むことを約束する。
    締約国は、他の平和愛好国と協同して、国際の平和及び安全を維持する国際連合の任務が一層効果的に遂行されるように国際連合を強化することに努力する。
第二条 締約国は、その自由な諸制度を強化することにより、これらの制度の基礎をなす原則の理解を促進することにより、並びに安定及び福祉の条件を助長することによつて、平和的かつ友好的な国際関係の一層の発展に貢献する。
    締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。
第三条 締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる
第四条 締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。
第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宜言{宜はママ}する。
    前記の武力攻撃及びその結果として執つたすべての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事国が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。
    前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。
第七条 この条約は、国際連合憲章に基づく締約国の権利及び義務又は国際の平和及び安全を維持する国際連合の責任に対しては、どのような影響も及ぼすものではなく、また、及ぼすものと解釈してはならない。
第八条 この条約は、日本国及びアメリカ合衆国により各自の憲法上の手続きに従つて批准されなければならない。この条約は、両国が東京で批准書を交換した日に効力を生ずる。
第九条 千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約は、この条約の効力発生の時に効力を失う。
第十条 この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。
    もつとも、この条約が十年間効力を存続した後は、いずれの締約国も、他方の締約国に対しこの条約を終了させる意思を通告することができ、その場合には、この条約は、そのような通告が行なわれた後一年で終了する。
以上の証拠として、下名の全権委員は、この条約に署名した。
千九百六十年一月十九日にワシントンで、ひとしく正文である日本語及び英語により本書二通を作成した。

日本国のために
岸信介
藤山愛一郎
石井光次郎
足立正
朝海浩一郎

アメリカ合衆国のために
クリスチャン・A・ハーター
ダグラス・マックアーサー二世
J・グレイアム・パースンズ


研究 日中平和友好条約を読む

はたして日本が憲法9条を改定しても中国は内政不干渉を履行するだろうか。

【日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約 1978年8月12日 締結】

日本国及び中華人民共和国は、
 千九百七十二年九月二十九日に北京で日本国政府及び中華人民共和国政府が共同声明を発出して以来、両国政府及び両国民の間の友好関係が新しい基礎の上に大きな発展を遂げていることを満足の意をもつて回顧し、
 前記の共同声明が両国間の平和友好関係の基礎となるものであること及び前記の共同声明に示された諸原則が厳格に遵守されるべきことを確認し、国際連合憲章の原則が十分に尊重されるべきことを確認し、アジア及び世界の平和及び安定に寄与することを希望し、
 両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約を締結することに決定し、このため、次のとおりそれぞれ全権委員を任命した。

 日本国     外務大臣 園田 直
 中華人民共和国 外交部長 黄  華

 これらの全権委員は、互いにその全権委任状を示し、それが良好妥当であると認められた後、次のとおり協定した。

第一条
1 両締約国は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に、両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。
2 両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

第二条
 両締約国は、そのいずれも、アジア・太平洋地域においても又は他のいずれの地域においても覇権を求めるべきではなく、また、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。

第三条
 両締約国は、善隣友好の精神に基づき、かつ、平等及び互恵並びに内政に対する相互不干渉の原則に従い、両国間の経済関係及び文化関係の一層の発展並びに両国民の交流の促進のために努力する。

第四条 
 この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものではない。

第五条
1 この条約は、批准されるものとし、東京で行われる批准書の交換の日に効力を生ずる。この条約は、十年間効力を有するものとし、その後は、2の規定に定めるところによつて終了するまで効力を存続する。
2 いずれの一方の締約国も、一年前に他方の締約国に対して文書による予告を与えることにより、最初の十年の期間の満了の際またはその後いつでもこの条約を終了させることができる。

 以上の証拠として、各全権委員は、この条約に署名調印した。

 千九百七十八年八月十二日に北京で、ひとしく正文である日本語及び中国語により本書二通を作成した。

 日本国のために     園田 直(署名)
 中華人民共和国のために 黄  華(署名)


研究 中台経済協力枠組み協定(ECFA)を読む

馬英九政権が「原則開放・例外管理」へと舵を切った。はたして大陸の台湾化は進むのか。

【中台経済協力枠組み協定 2010年6月26日 調印】
序言
財団法人海峡交流基金会と海峡両岸関係協会は、平等・互恵、順序を踏まえた漸進の原則に従い、海峡両岸の経済・貿易関係強化の念願を達成させた。 双方は、世界貿易機関(WTO)の基本原則に基づき、双方の経済条件を考慮し、双方間の貿易と投資の障害を段階的に軽減あるいは除去し、公平な貿易と投資環境を創造し、「海峡両岸経済協力枠組み協議」(以下、本協議)の調印を通して、双方の貿易と投資関係をより一層増進させ、両岸における経済繁栄と発展にプラスとなる協力メカニズムを構築することに同意した。 協議を経て、以下の通り協議を達成した。
第一章 総則
第一条 目標
本協議の目標は:
一、 双方間の経済、貿易、投資協力を強化および増進する。
二、 双方の製品貿易とサービス貿易のさらなる自由化を促進し、公平、透明、簡便な投資およびその保障メカニズムを段階的に確立する。
三、 経済協力の分野を拡大し、協力メカニズムを確立する。
第二条 協力措置
双方の経済条件を考慮し、以下を含むがこれらに限定されるものではない措置を採り、海峡両岸の経済交流と協力を強化することに双方は同意した。
一、 双方間の実質的な数多くの製品貿易の関税と非関税障害を段階的に軽減あるいは除去する。
二、 双方間の多くの部門に関わるサービス貿易の制限的な措置を段階的に軽減あるいは除去する。
三、 投資保護を行い、双方向の投資を促進する。
四、 貿易投資の簡便化および産業交流と協力を促進する。
第二章 貿易と投資
第三条 製品貿易
一、 双方は、本協議第7条規定による「製品貿易におけるアーリーハーベスト(早期の実施・解決項目)」の基礎の下、本協議発効後、遅くとも6カ月以内に製品貿易協議についての話し合いを行うと共に、速やかに完成させることに同意した。
二、 製品貿易協議の話し合いの内容は、以下を含むがこれらが全てではない:
(一) 関税の引き下げあるいは免除の形式;
(二) 原産地規則;
(三) 税関のプロセス;
(四) 非関税措置は、「貿易の技術的障害に関する協定(TBT)」、「衛生植物検疫措置(SPS)」を含むが、これらが全てではない。
(五) 貿易救済措置は、世界貿易機関(WTO)の「1994年の関税及び貿易に関する一般協定第6条の実施に関する協定(アンチダンピング協定)」、「補助金及び相殺措置に関する協定」、「セーフガードに関する協定」の各措置および、双方間の製品貿易において適用される双方のセーフガード措置を含む。
三、 本条に基づき、製品貿易協議に盛り込む製品は、ゼロ関税即時実行の製品、段階的に減税する製品、例外あるいはその他の製品の3種類に分ける。
四、 いかなる一方も、製品貿易協議規定による関税引き下げ公約の基礎の下、関税引き下げの実施を自主的に加速できる。
第四条 サービス貿易
一、 双方は、第8条規定による「サービス貿易におけるアーリーハーベスト」の基礎の下、本協議発効後、遅くとも6カ月以内にサービス貿易協議についての話し合いを行い、速やかに完成させることに同意した。
二、 サービス貿易協議の話し合いは以下の面において尽力する:
(一) 双方間の多くの部門に関連するサービス貿易の制限的な措置を段階的に軽減あるいは除去する。
(二) サービス貿易の幅と内容の深度を継続的に拡大する。
(三) 双方のサービス貿易分野における協力を増進する。
三、 いかなる一方も、サービス貿易協議の規定において開放を公約した基礎の下で、制限的な措置の開放あるいは除去を自主的に加速することができる。
第五条 投資
一、 双方は、本協議の発効後6カ月以内に、本条第2項で述べている事項について話し合いを行うと共に、速やかなる協議の達成に同意した。
二、 同協議は以下の事項を含むがこれらが全てではない:
(一) 投資保障メカニズムを確立する;
(二) 投資関連規定の透明化を向上;
(三) 双方の相互投資の制限を段階的に減少;
(四) 投資の利便化を促進;
第三章 経済協力
第六条 経済協力
一、 本協議の効果を強化ならびに拡大するために、以下を含むがこれらが全てではない協力の強化について双方は同意した。:
(一) 知的財産権の保護と協力;
(二) 金融協力;
(三) 貿易促進および貿易の簡便化;
(四) 税関協力;
(五) 電子ビジネスの協力;
(六) 双方の産業協力戦略と重点分野を研究し、双方の重要項目の協力を推進し、双方の産業協力の中で発生する問題を調整し、解決する;
(七) 双方の中小企業協力を推進し、中小企業の競争力を向上させる;
(八) 双方の経済・貿易組織による出先機関の相互開設を推進する;
二、 双方は、本条の協力事項の具体的計画と内容について、速やかに協議を行うようにする。
第四章  アーリーハーベスト(早期の実施・解決項目)
第7条 製品貿易におけるアーリーハーベスト
一、 本協議の目標実現を加速するために、付属文書1に記された製品に対しアーリーハーベスト計画を実施し、同計画は本協議発効後6カ月以内に実施を開始することに双方は同意した。
二、 製品貿易におけるアーリーハーベスト計画の実施については以下の規定に従う:
(一) 双方は付属文書1で明記しているアーリーハーベスト製品および関税引き下げに基づき、関税引き下げ実施の手配を行う。しかし、双方が各自、その他のWTO全加盟国に対して普遍的に適用している非臨時的な輸入関税の税率が比較的低い場合には、同税率を適用する。
(二) 本協議の付属文書1で記している製品は、付属文書2で記した臨時原産地規則に適応する。同規則に基づき認定されたものは、一方で原産された上述の製品となり、もう一方は輸入時にそれに対し関税の優遇を行う。
(三) 本協議の付属文書1に記している製品が適用される臨時貿易の救済措置は、本協議第3条第2項第5細目で規定した措置のことを指し、その中で双方のセーフガード措置は本協議の付属文書3に盛り込まれている。
三、 双方は、本協議第3条に基づき達成した製品貿易協議の発効日からは、本協議の付属文書2の中で明記した臨時原産地規則と本条第二項第三細目規定による臨時貿易の救済措置規則は適用を終了する。
第八条 サービス貿易におけるアーリーハーベスト
一、 本協議の目標実現を加速するために、付属文書4で記したサービス貿易部門に対するアーリーハーベスト計画を実施し、アーリーハーベスト計画は本協議発効後、速やかに実施することに双方は同意した。
二、 サービス貿易のアーリーハーベスト計画の実施は下記の規定に従う:
(一) 一方は、付属文書4で明記されているサービス貿易のアーリーハーベスト部門および開放措置に基づき、もう一方のサービスおよびサービス提供者が実行する制限的な措置を軽減あるいは除去する。
(二) 本協議の付属文書4で記されたサービス貿易部門および開放措置は、付属文書5で規定したサービス提供者の定義を適用する。
(三) 双方は、本協議の第4条に基づき達成したサービス貿易協議の発効日より、本協議付属文書5で規定するサービス提供者の定義は適用が終了する。
(四) もしサービス貿易のアーリーハーベスト計画実施により、一方のサービス部門が実質的なマイナス影響をもたらした場合には、影響を受けた側は、相手側と話し合いを要求し、解決方案を求めることができる。
第五章 その他
第九条 例外
本協議のいかなる規定も、一方がWTO規則と同様の例外措置を採るか維持することを妨害する解釈をしてはならない。
第十条 争議の解決
一、 双方は、本協議発効後遅くとも6カ月以内に、争議解決の適切なプロセス確立について、話し合いを行うと共に、速やかに協議を達成させ、それにより本協議のいかなる解釈、実施、適用についての争議を解決していく。
二、 本条の第一項で示した争議の解決協議の発効前においては、本協議のいかなる解釈、実施、適用についての争議も、双方が協議を通して解決するか本協議第十一条において設立される「両岸経済協力委員会」により、適切な方法で解決を図っていく。
第十一条 メカニズム構築
一、 双方は、「両岸経済協力委員会(以下、委員会)」を設立する。委員会は双方が指定した代表により組織され、本協議と関連のある件(→事項)についての処理を担当し、以下は含まれるが全てではない。
(一) 本協議の目標を実行するために必要な話し合いを完成させる;
(二) 本協議の実行を監督ならびに評価する;
(三) 本協議の規定を解釈する;
(四) 重要な経済・貿易情報を通知する;
(五) 本協議第十条の規定に基づき、本協議に関するいかなる解釈、実施、適用の争議を解決する;
二、 委員会は重要性に基づき作業チームを設立し、特定分野の中で本協議に関連する事項を処理することができる。
三、 委員会は毎年半年に1度例会を開催し、必要時には双方の同意により臨時会議を招集できる。
四、 本協議に関連する実務事項は、双方の実務主管部門が指定した連絡人が連絡の責任を担う。
第十二条 文書の書式
本協議に基づいて行なわれる業務連絡には、双方が取り決めた文書の書式を使用する。
第十三条 付属文書および後続協議
本協議の付属文書および本協議の調印に基づく後続協議については、本協議の1部として構成される。
第十四条 修正
本協議の修正は、双方の協議の同意を経ると共に、書面形式で確認する。
第十五条 発効
本協議の調印後、双方は各自の関連手続きを完成させると共に、書面で相手側へ通知する。本協議は双方が相手側の通知を受領した翌日より発効する。
第十六条 終了
一、 一方が本協議を中止するには、書面で相手側に通知する。双方は終了通知発送後、30日以内に協議を開始する。もし、協議において一致が達成されなかった場合、本協議は通知した側が終了通知を発送した日から180日目に終了する。
二、 本協議終了後30日以内に、双方は本協議終了により生ずる問題について協議を行う。
本協議は6月29日に調印し、一式4部あり、双方は各2部ずつ保管する。4部の本文中の対応表現が異なる言葉の意味は同じであり、4部の本文は同等の効力を持つ。
付属文書1 製品貿易におけるアーリーハーベスト製品リストおよび関税引き下げ計画
付属文書2 製品貿易におけるアーリーハーベスト製品に適用される臨時原産地規則
付属文書3 製品貿易におけるアーリーハーベスト製品に適用される双方のセーフガード措置
付属文書4 サービス貿易におけるアーリーハーベスト部門および開放措置
付属文書5 サービス貿易におけるアーリーハーベスト部門および開放措置が適用されるサービス提供者の定義
財団法人海峡交流基金会        海峡両岸関係協会
董事長(理事長) 江丙坤       会長 陳雲林


研究 『三大主義と中国民族の前途』を読む

孫文が掲げた三民主義はもう死んだのか。それとも今も中華の光なのか。

【三大主義と中国民族の前途 1906年12月2日 演説】
諸君。本日諸君が勇躍ここへやって来たのは、ただ嬉しいからではなく、きっと大きな意図があるのだと私は思います。 今日のこの会は、『民報』創刊記念日を祝うものです。『民報』が唱えてきたのは、中国民族の前途という問題であり、 諸君が本日ここへ来たのは、きっと一人一人が中国民族の前途という問題を心にかけ、この機会に皆で検討しようというのでしょう。 私が思うに、『民報』は創刊から既に一年になりますが、唱えてきたのは三大主義であり、第一が民族主義、第二が民権主義、第三が民生主義です。
民族主義は、何か研究して初めてわかるというものではありません。例えば、ある人が父母を見れば必ずそれが父母だとわかり、 父母を赤の他人だと思うことは決してありえず、赤の他人を父母だと思うことも決してありません。民族主義も同様で、 これは種族性から発するものであり、誰もみな同じです。満州人が山海関から侵入してから今まで、 既に二百六十年余りになりますが、我々漢人は子供であっても、満州人を見ればそれが満州人だとわかり、 決して漢人だと思うことはなく、これこそが民族主義の根本です。
しかし、ある最も重要なことを知らねばなりません。民族主義とは決して、異民族の者に遭えば排斥するということではなく、 異民族の者がわが民族の政権を奪いに来るのを許さないということです。わが漢人が政権を保有してこそ国が存在するのですから、 もし政権が異民族の者に掌握されてしまえば、たとえ国があったとしても、もはやわが漢人の国ではなくなってしまいます。
考えてみましょう。現在、国はどこにあるでしょう。政権はどこにあるでしょう。 我々は既に亡国の民となっているのです。地球上の人口は十数億にすぎず、我々漢人は四億いるのですから、 四分の一を占めており、地球上で最大の民族だということができ、しかも地球上で最も古く、最も文明的な民族です。 ところが、今日では亡国の民となっているというのは、大いに不思議なことではありまえんか。 かのアフリカのトランスヴァール国の人口は二十万人余りにすぎず、イギリスに亡ぼされましたが、 それでも三年にもわたって闘いました。フィリピン島の人口は数百万人にすぎず、アメリカに亡ぼされましたが、 それでも数年間は持ちこたえました。よもや我々漢人が、亡国に甘んずることはありますまい。
わが漢族の国が亡びた時代を思い起こしてみると、わが祖先は満州人に服従することを拒みました。 眼を閉じて、わが祖国の流した血が河を成し、転がった屍が野を覆った歴史上の光景を思えば、 わが祖先は子孫に顔向けできますが、辛いのは我々子孫の方です。 また亡国以後、満州政府が愚民政策を取ってきた時代を思い起こしてみると、我々漢人は表面では服従しながらも、 心の奥ではやはり不満で、だから何度も蜂起してきました。今日に至って、我々漢人の民族革命の風潮は、一日千丈の勢いです。 そこで満州人も排漢主義を唱えており、彼らの口癖は、祖先に団結力があり武力があったから漢人を制圧したので、 こういった力を長く保って、永遠に支配し続けようというものです。 彼らのこの言葉は、もとより間違っていないのですが、もう一つ最大の原因があって、それは漢人に団体がないことです。 我々漢人に団体があれば、きっと力量は彼らの幾千・幾万倍も大きくなり、民族革命の事業が成功しないはずがありません。
ただ私は、民族革命とは満州民族を絶滅させることだと、ある人が言うのを聞いたとこがありますが、この言葉は大間違いです。 民族革命を行なう理由は、満州人が我々の国を滅亡させ、我々の政治を支配していることに甘んぜず、 必ず彼らの政府を打倒して、わが民族の国家を回復せねばならないということなのです。 このように見るならば、我々は決して満州人を憎むのではなく、漢人に害を与える満州人を憎むのです。 もし我々が革命を実行する時、満州人が妨害しなければ、我々には決して復讐をする道理がありません。 彼らが当初漢族を滅ぼした時、都市を攻め落とすと十日間も大殺戮を行ない、それからようやく矛を収めたのですが、 これは人類の所業ではありません。我々は決してそうではなく、彼らが我々を妨害するのであれば、全力を尽くして懲らしめ、 彼らと両立しえないということなのです。
現在の状況から見ると、満州政府は排漢主義を実行し、中央集権を図って、憲法を愚民政策の道具としようとしており、 彼らの魂胆は実に日増しに悪辣になっています。しかし、彼らが必死になって政権を独占する理由は、我々漢人が彼らを 絶滅させようとしているのだと恐れて、それで騎虎の勢いとなっているためかもしれません。 だから我々は、常に民族革命の目的を明確に知らねばならず、もし満州人が最後まで頑迷で、依然として政権を独占し 漢族を支配しようとするならば、漢族は生きている限り座視できません。 おそらく諸君も同感でしょう。民族革命の大要は、以上の通りです。
民権主義といえば、これこそ政治革命の根本です。将来に民族革命を実行した後、現在の劣悪な政治はもちろん一掃できますが、 その他にもまだこの劣悪な政治の根源があって、除去せねばなりません。中国は数千年来ずっと君主専制政体で、 この政体は平等・自由な国民には耐えられないものです。この政体を除去することは、民族革命だけに頼っては成就できません。
考えてみると、明の太祖はモンゴルを駆逐して中国を回復し、民族革命は既に成就しましたが、 彼の政治は依然として漢・唐・宋に似たもので、だから三百年後に外国人に侵入されました。 これは政体が良くなかったためで、絶対に政治革命を行わなければならないのです。 政治革命を研究するのは非常に苦労を要しますが、着手する時は民族革命と並行させます。 我々が満州政府を打倒するのは、満州人を駆逐するという面から言えば民族革命ですが、君主体制を転覆させるという 面から言えば政治革命だということで、決して二度に分けて行なうのではありません。 政治革命の結果はと言うと、共和立憲政体を樹立することです。現在のような政治から論じれば、 たとえ漢人が君主であっても革命を行わねばなりません。フランス革命やロシア革命にはもともと種族問題はなく、純粋に政治問題でした。 フランスでは共和政治が既に成立し、ロシアの虚無党も究極的にはこの目的を達成しようとしています。 中国革命の後、この政体が最も適切であることも、皆が知っています。
しかし、まだ最も重要なことがあって、それは革命を行なう者に、少しでも皇帝思想が残っていれば、それは亡国をもたらすだろうということです。 中国では従来、国家を私人の財産と見なしてきたので、草創の英雄が立ち上がると必ず相互に争い、自分のものにできなければ、 各々一か所に割拠して対峙し続け、往々にして百年も二百年も分裂して、それでもなお決着がつかないことがありました。 今日の中国は、まさに万国が虎視眈々と狙っている時代であり、しかも革命家自身が争いあって四分五裂すれば、 自ら国を亡ぼすことになるではありませんか。近頃、志士たちはみな外国人が瓜分(かぶん=分割)することを恐れていますが、私の見解は違います。 外国人は決してわが中国を瓜分することはできず、ただ中国人が自分で中国を瓜分することだけが懸念され、 そうなれば救いようがありません。だから我々は必ず平民革命によって、国民政府を樹立せねばならず、 これは我々の革命の目的であるだけでなく、また我々の革命の際に絶対に不可欠なことなのです。
民生主義について話すとなると、その内容は複雑に入りくんで、一種の科学をなしており、十分に研究せねば理解できません。 しかも、社会問題というのは災禍が将来にあって、民族・民権問題が焦眉の急であるのとは違うため、理解する者が少ないのです。 そうとは言うものの、人の眼光は遠くを見通すべきであり、およそ大きな災禍は発生する前に防止するのは容易で、 発生した後に撲滅するのは極めて困難です。社会問題は、欧米では積弊となって元に戻すのは困難ですが、 中国ではまだ幼稚な時代にあります。しかし、将来は必ず発生するでしょうから、その時になって収拾できねば、 また大革命を引き起こすことになるのです。革命という事業は、どうしてもやむをえない場合にのみ行なうもので、 国民の活力をたびたび損なうことはできません。我々は民族革命・政治革命を実行する際、同時に方法を考えて社会・経済組織を改良し、 後の社会革命を防止せねばならず、これがまさに最大の責任なのです。
今はまず、民生主義が発生することになった原因について、お話しましょう。この民生主義というのは、 十九世紀後半にようやく流行するようになりました。以前に民生主義が流行しなかった原因は、 ひとえに文明が発達していなかったことであり、文明が発達すればするほど、社会問題は緊急になります。 この道理はたいへんわかりにくいのですが、卑近な事柄を取り上げて比喩することはできます。 おそよ文明が進歩すれば、個人が体力を使う場合は少なく、自然力を使う場合が多くなり、 電力・蒸気力は人の体力の千倍も速く仕事をします。一例を挙げて言えば、古代には一人が田畑を耕し心身を労しても、 得られる穀物はせいぜい数人の食料を供給するのみでした。近代には農学が発達したので、一人が耕せば千人でも食べきれず、 これは彼が手足を使うだけでなく、機械の力を借りて人力を助けるので、自ずと労力は半分で効果は二倍になるからです。 だから古代に農業・工業を重んじたのは、生産がやっと人の需要を充たす程度だったので、 それゆえもっぱら生産を重視せざるをえなかったのです。近代はそれと異なり、農業・工業で生産される物品に不足の心配はなく、 ただ過剰のおそれがあるばかりなので、それで商業をより重んじ、品物を他国に輸出して利益を図るようになりました。 これは、欧米各国でほぼ同様です。
このように言うと欧米各国では、どの家もどの人も衣食が充ち足りて、幸福を享受しているはずで、 古代人が全く及ばないということになりそうです。しかし各国の状況を見てみると、今しがた言ったこととは正反対です。 統計上ではイギリスの富は、昔より数千倍以上多くなっているのに、人民の貧窮も昔より数千倍以上甚だしくなり、 しかも富者は極めて少なく、貧者が極めて多いのですが、これは人力が資本力に対抗できないためです。 古代には農業・工業は、全て人力に頼って行なっていましたが、現在では自然力の利用が発達して人力は全く及ばないので、 そのため農業・工業は資本家の手に入りました。資本が大きければ大きいほど、より豊かに自然力を利用するので、 貧民はどうにもこれと競争できず、自ずと生活の基盤もなくなってしまいました。
社会党が民生主義を唱えるのは、貧富が不均等であるため、これを救う方法を講じようと望むからです。 これらの人々は日に日に盛んになり、ついには一種の広範な科学となりました。 その中には流派が極めて多く、資本家を廃止して国有化を唱える者、貧民に均分することを唱える者、公有にすることを唱える者がいます。 議論は紛々としていますが、おそよ見識ある者は、みな社会革命が欧米では決して免れえないことを知っており、 これは実に「前車の覆るは後車の戒め」(『漢書』賈誼伝)で、将来に中国がこの段階に達してから、ようやく民生主義を唱えたのでは、 もう遅いのです。
このような現象は、中国には今まだありませんが、我々が目にしていなくとも、わが子孫はきっと目にすることになるでしょう。 将来どうしようもなくなってから大破壊を考えるよりは、今日あらかじめ防止する方法を、準備しておいた方が良いのです。 ましてや中国は、今日もし民生主義を実行するならば、必ず欧米よりもずっと容易です。 社会問題は文明の進歩によってもたらされるので、文明の程度が高くなければ、社会問題も大きくないからです。 一例を挙げて言えば、今日の中国の貧民には、まだ薪を割り穀物を刈って生計を立てている者がいますが、欧米ではとうに姿を消しています。 あらゆる生計の利益は、ことごとく資本家に吸収され、貧民は力があっても働く権利がなく、たとえ僅かな利益があっても、 決して生存することはできません。だから社会党は常に、文明は貧民に不利だから昔に戻った方が良いと言いますが、 これはやはり誤りを正そうとして行き過ぎた言い方です。ましてや文明の進歩は自然にもたらされるので、逃れることはできません。 文明には善果もあれば悪果もあり、善果を取って悪果を避けるべきなのです。欧米各国では善果が富者に享受し尽くされ、 貧民は悪果を食らうことになり、常に少数者が文明の幸福を独占しているので、この不平等な世界ができたのです。 我々の今回の革命は、国民的国家を創ろうとするだけでなく、社会的国家を創ろうとするものでもあり、 これは決して欧米の及びうるところではありません。
なぜ欧米は、社会問題を解決できないのでしょう。それは土地問題を解決していないからです。 およそ文明が進歩すれば、地価は日に日に高騰するもので、例えばイギリスは百年前に人口は既に一千万余りでしたが、 国産の食糧は供給して余りあるほどでした。今日では人口は四倍に増えただけですが、食糧は既に二ヶ月分にも足りず、 民衆の食糧はもっぱら外国の穀物に頼っており、だからイギリスは海軍を重視して制海権を防衛し、 食糧輸送が絶えないように守らざるをえないのです。イギリスの富者は耕地を牧場に替え、あるいは狩猟場に替えたので、 所得は増えて徴収は容易になったものの、そのために農業は次第に廃れました。だが、決して土地が足りないわけではありません。 貧民には耕す田畑がなく、みな賃労働によって糊口を凌いでいますが、工業は全て資本家に握られ、 たまたま工場が操業を停止すれば、貧民はただちに飢えてしまいます。ロンドン市だけについて計算してみても、 毎年冬期の労働者の失業は常に六、七十万人に上り、全国は推して知るべしです。 イギリスの大地主であるウェストミンスター公爵は、ロンドンの西方に領地を持っていましたが、のちにロンドン市が拡張され、 その領地が全て含まれることになったため、彼の一家の地代はロンドンの地代の四分の一を占め、その富は国家の富と等しくなりました。 貧富の不均等はついにこれほどまでに達したので、「平等」の二字は空言となっているのです。
およそ社会現象は、常に自然に任せきってしまうことはできず、樹木を自然の成長に任せると必ず枝や蔦がはびころますが、 社会問題もそれと同様です。中国は現在まだ資本家が出現していないので、地価は数千年来まだ上昇したことがなく、 この点で各国とは違います。しかし革命の後は、以前と同じではありません。例えば現在、香港・上海の地価は内地より数百倍も高いのですが、 それは文明が発達して交通が便利になったため、これほど高騰したのです。もし将来に全国が改良されれば、 地価は必ず文明とともに日増しに高騰し、その時は以前に一万元だった土地が、必ず数十万元から数百万元にも値上がりします。 上海では五十年前に黄浦灘付近の土地は、元々何の価値もなかったのですが、近頃ではとうとう一畝(約6.7アール) 当たり百数十万元にまで上がったのは、最も明らかな証拠です。こうして見ると、将来は富者が日増しに富み、 貧者は日増しに貧しくなり、十年後には社会問題が日増しに緊迫していきます。その弊害は誰もがわかっているでしょうが、 まだ目前にその現象がないので、なおざりにしやすいのです。しかし今なおざりにすれば、 将来になって収拾できなくなるので、だから今こそ解決の方法を探さねばならず、これはわが同志が留意すべきことであります。
民生主義とは四億人の半分を殺し、富者の田畑を奪って自分のものにしようとするものだと、人がいうのを聞いたことがあります。 これは、まだ道理を知らず口から出任せに言っているのであり、相手にする必要はありません。 解決の方法について社会学者の見解は様々ですが、私の最も正しいと信じているのは、地価を定める方法です。 例えば、地主が地価一千元の土地を持っていれば、一千元か多くても二千元に定めます。その土地が将来、交通の発達によって 一万元に高騰すれば、地主は二千元を得るべきで、そうすれば利益はあっても損失はなく、八千元の利益は国家のものとすべきなのです。 これは国家の財政にも人民の生活にも大いに有益で、少数の富者による独占という弊害は自ずと永遠に絶たれ、 最も簡便で行いやすい方法です。
欧米各国では地価の高騰が既に極限まで達しており、地価を定めようとしても標準がないという困難があるので、実行は困難です。 まだ地価が高騰していない場所は、この方法を急いで実行するのに適しており、それでドイツは膠州湾で、オランダはジャワで、 既に実効を上げています。中国の内地は文明が発達しておらず、地価が上昇していないので、もし模倣するのであれば、必ず容易です。 私が先程述べた、社会革命が外国では困難だが中国では容易だというのは、まさにこのためなのです。 この方法を実行すると、文明が進めば進むほど国家は豊かになり、あらゆる財政問題は絶対に処理困難にはなりません。 現在の重税は全て廃止され、物価も次第に下がり、人民も次第に豊かになり、私財を献納させるという数千年来の悪政は、 永遠に消滅します。これが中国に従来なかったことは言うまでもありませんが、欧米・日本が富強だといっても、 結局のところ人民の租税負担は過重を免れません。中国で社会革命が行われた後、民間人は永遠に納税する必要がなく、 地代を徴収するだけで地球上の最も豊かな国となるので、この社会的国家は決して他国の及びえないものです。 我々が物事を行う際は人の前に立つべきで、遅れて人の後にならぬようにすべきですが、この社会革命の事業は、 必ず文明各国が将来に手本とするでしょう。
要するに我々の革命の目的は、衆生のために幸福を図るためで、少数の満州人が利益を独占することを願わないから、 民族革命を求めるのであり、君主一人が利益を独占することを願わないから、政治革命を求めるのであり、 少数の富者が利益を独占することを願わないから、社会革命を求めるのです。この三者のうち、一つでも成し遂げられないものがあれば、 それはまた我々の本意ではありません。この三つの目的を達成すれば、わが中国は最も完全で立派な国家となるはずです。
もう一つ、我々が研究せねばならない問題があるのですが、それは将来の中華民国の憲法です。 「憲法」の二字は近頃人々が好んで語り、満州政府でさえ幾人かの臣下を外国に派遣して政治を調査させ、 予備立憲の上諭を出すことを知っており、自分で驚き自分で騒いでいます。ならば中華民国の憲法が、 いっそう検討せねばならないものであることは、言うまでもありません。
私が各国の憲法を一つ一つ見たところ、成分憲法はアメリカが最も良く、不文憲法はイギリスが最も良いと思います。 イギリスのものは倣うことができず、アメリカのものは倣うにおよびません。イギリス憲法のいわゆる三権分立とは、 行政権・立法権・裁判権が各々互いに従属しないということで、これは六、七百年前から次第に発生して習慣となったのですが、 境界がまだ明確ではありません。のちにフランスのモンテスキューは、イギリスの制度を基本とし、 自分の理想を交えて一家の学を完成させました。アメリカの憲法は、モンテスキューの学説を基本として、 三権の境界をより明確に分けたもので、百年前には最も完全で立派なものであったと言えます。 百二十年来、何度も改正したのですが、大枠は依然として変わっていません。しかしこの百年余りの間、 アメリカの文明は日々進歩し、土地・財産も増加してやまず、当時の憲法は現在では既に適切ではなくなりました。 私が思うに、将来の中華民国憲法は新たな主義を創出せねばならず、それは「五憲分立」というのもです。
その五権とは、今言った三権の他に二権があるのです。一つは考選(選抜試験)権です。 平等・自由は元来国民の権利ですが、官吏は国民の公僕です。アメリカの官吏には選挙された者がいれば、 委任された者もいます。以前は元々試験制度がなく、それで選挙であれ委任であれ、共に大きな弊害がありました。 選挙について言うと、少し口の上手な者は、国民に取り入って選挙運動をするのですが、 学問・思想の高尚な者は、かえってみな口下手で誰にも相手にされないので、アメリカ議会には往々にして愚鈍・無知な者が 混じっており、その歴史は実に滑稽です。委任について言うと、およそ委任官は大みな統領と進退を共にします。 アメリカの共和党・民主党は、これまで交互に盛衰を繰り返してきましたが、大統領が替わると内閣から郵便局長まで、 六、七万人もが同時に替わります。だからアメリカ政治の腐敗と散漫は、各国にないものなのです。 こうして見ると、全て選抜試験制度が発達していないことが原因です。
選抜試験は元来中国が創始したものですが(科挙を指す)、残念ながら制度が悪く、かえって外国に学びとられ、 改良を加えられた後、立派な制度になりました。イギリスは最初に選抜試験制度を模倣し、アメリカも次第に倣って、 およそ下級官吏は必ず試験に合格して、はじめて委任されることになり、この制度が行われてからアメリカ政治は、 ようやく好転し始めました。しかし、これは下級官吏に採用されえたにすぎず、また考選の権限は依然として行政府の下にあり、 少しは効果があったのですが、やはり不完全です。
だから将来の中華民国憲法は、必ず独立の機関を設けて専門に考選権を司らせ、大小の官吏は必ず試験によって資格を定め、 その官吏が選挙による者であれ委任による者であれ、必ず合格した者であってはじめて有効だとせねばなりません。 この方法は、でたらめな選挙に盲従したり、縁故者を任用したりする弊害を除去できます。 中国は従来、官吏の選抜には資格を最も重んじており、これは元来立派な意図なのですが、 しかし君主専制の国では、人材の罷免・登用は全て君主一人の好悪によるので、だから資格を重んじたとしても、 やはり表面的なものです。社会共和の政体になってこそ、この資格という方法がまさに役に立ちます。 なぜなら、官吏は君主の私人ではなく国民の公僕であり、必ず十分に職に適した者であってこそ、 任用することができるからです。しかし、この考選権がもし行政府に属すると、その権限が広くなりすぎ、 弊害がかえって多くなるので、だから必ず独立の機関を設けてこそ適切なのです。
一つは糾察権であり、監督・弾劾の事柄を専門に管轄します。この機関はどこの国にも必ずあって、 その道理はわかりやすいものです。しかし中華民国憲法では、この機関は必ず独立させねばなりません。 中国は古来、御史台(秦以降は監察官の名称)があって、風紀の取り締まりを司りましたが、 しかし君主の奴僕にすぎなかったので、役に立つわけがないのです。現在の立憲各国でも、立法機関が監督の権限を 併せ持たぬものはありませんが、権限の強弱の差はあってもみな独立しえず、それゆえに無数の弊害を生じています。 例えばアメリカでは、糾察権は議員が掌握していますが、往々にしてこの権限を勝手に使って行政機関を脅迫し、 頭を垂れて命令を聞かざるを得なくするので、しばしば議員専制となってしまい、リンカーンや、マッキンリーや、 ローズベルトといった、勝れた才知と計略を持つ大統領でなければ、行政の独立という目的を達成することはできません。 ましてや正しい道理から言えば、人民を裁判する機関が独立しているのですから、 官吏を裁判する機関が依然として別の機関の下にあるのは、理論的に通らないことで、だからこの機関も独立すべきなのです。
前の四権と合わせて全部で五権分立となり、これは各国の制度にまだないだけでなく、学説上もあまり見られず、 破天荒の政体だということができます。私は今日その基礎を明らかにしましたが、その詳細な条理や完全な構成については、 同志諸君が力を尽くして研究し、足りないところを正して、将来の中華民国憲法を完成させることを望みます。 そうすれば民族的国家・国民的国家・社会的国家に、全て完全無欠の統治理論が得られることになるので、 これはわが漢族四億人の最大の幸福です。諸君が必ずや任務を担い、 共にこの事業を成し遂げるのが、私の最も希望するところです。


研究 治安維持法を読む

言論・思想の自由を弾圧し日本を戦争へ導いた要因の一つとされる悪法は既に復活していないか。

【治安維持法 1925年(大正14年)4月22日 公布】
法律第46号 治安維持法
第一条 国体若は政体を変革し又は私有財産制度を否認することを目的として結社を組織し又は情を知りて之に加入したる者は十年以下の懲役又は禁錮に処す
前項の未遂罪は之を罰す
第二条 前条第一項の目的を以て其の目的たる事項の実行に協議を為したる者は七年以下の懲役又は禁錮に処す
第三条 第一条第一項の目的を以て其の目的たる事項の実行を煽動したる者は七年以下の懲役又は禁錮に処す
第四条 第一条第一項の目的を以て騒擾、暴行其の他生命、身体又は財産に害を加うべき犯罪を煽動したる者は十年以下の懲役又は禁錮に処す
第五条 第一条第一項及前三条の罪を犯さしむることを目的として金品其の他の財産上の利益を供与し又は其の申込若は約束を為したる者は五年以下の懲役又は禁錮に処す情を知りて供与を 受け又は其の要求若は約束を為したる者又同し
第六条 前五条の罪を犯したる者自首したるときは其の刑を減刑又は免除す
第七条 本法は何人を問わず本法施行区域外に於て罪を犯したる者に又之を適用す
附則
大正十二年勅令第四百三号は之を廃止す


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